2021年3月27−28日(土・日)に、成人期のADHDの集団認知行動療法専門研修会を実施いたしました。年度末のお忙しい時期にもかかわらず、42名の方にご参加いただきました。
もともとは8月に博多で実施する予定でしたが、コロナの影響で延期し、オンライン開催となりました。
主催側として、「オンライン開催で、集団認知行動療法がどれほど学べるものだろうか」という不安があったのですが、以下の4点を工夫して備えました。
- ファシリテーターと事前に模擬セッションをして時間配分や事前準備のアナウンスや当日のスタッフ間の連絡手段の確保など工夫すべき点を洗い出しておいたこと
- 講師にはシナリオを作成してもらい、参加者がそれを読み上げる形でロールプレイするという構造で、オンライン独特のやりづらさを緩和したこと
- グループを作るときに、職種、職域、所属機関の所在地をなるべく近いものにして等質な集団にして安心感を持ちやすくしたこと
- Zoom操作に不慣れな参加者のためにマニュアルを作成し、準備セッションを実施したこ
その結果、参加者アンケートでは概ね満足が得られたようです。
また、アイテム別の満足度調査の結果も、概ね満足いただけたようです。中でも危惧していたオンライン開催という形式には、「非常に有意義だった」との声がたくさんあり、ほっとしました。
また、成人期のADHDの認知行動療法についてここまでまとまった時間講義を聞くことがなかったとの声も届いており、「講義」に対する満足度も高かったようです。
一方で、ペアワークやグループワークは講義に比べると満足度はやや低めで、「時間が足りない」との声もありました。内容についてもさまざまな職種の方に、未経験の方にも取り組みやすい工夫をしなければと思いました。
また、質疑応答では、講義を担当した講師に対して、他の講師やファシリーテータが感想を述べたり、質問をしたことが呼び水となり、参加者の皆様からも多くの質問が寄せられました。講義への理解がより深まりましたし、実践のイメージを持つこともできました。
もちろん実際に円になってグループの実習ができればそれが最もよかったに違いありません。行き届かない点も多くあったことと思います。しかし、参加者のみなさまからは「温かい研修だった」「臨床感溢れるコメントが聞けた」いう声を聞くことができて、スタッフのみなさん、参加者のみなさんが一緒に力を合わせて作り上げた空気がよかったんだなと思いました。
現在、研修後のスーパービジョンが始まったところです。それぞれの所属機関にフィットした形でADHDグループの種を育て始めたところです。今回は、ADHD専門研修でしたが、将来的には他の特定の疾患や障害に対する集団認知行動療法の研修会を行って欲しいというご要望もみられました。まだまだ研修会は広がっていきそうです。