2021年度集団認知行動療法研究会
「中級研修会」


2021年度 集団認知行動療法研究会中級研修会のご報告

2021年10月24日(日)ZOOM によるオンラインにて2021年度中級研修会を開催いたしました。北海道から九州まで日本全国より医師・臨床心理士・看護師・精神保健福祉・作業療法士など様々な職種の集団認知行動療法に関わる方々がご参加されました。

前回、2019年に開催された中級研修会では基礎研修会とのつながりを重視して、集団療法スキル向上に焦点を当てた内容に変更されました。終了後の受講者アンケートでは大変、大きな反響があり、それを継承しつつも、研修会の反省点として、中島美鈴先生の講演と事例検討会とが、より密につながるように準備しておりました。しかしコロナ禍で研修会を延期せざるを得なくなり、状況を鑑みWEBオンライン開催に切り替えて準備することになりました。

オンラインでの開催という新しい試みに対して戸惑いがありましたが、世話人でもある大橋先生の経験を生かして無事、開催することができました。

オンライン開催に関しては自宅から簡単に参加できたという意見やディスカッションにあまり違和感がなかったという意見がある一方、グループ内での距離感がつかみにくい等、ディスカッションのしにくさを感じたという意見もありました。

最初の講義・演習では前回と同じく中島美鈴先生をお迎えし、「グループにおける否認と回避を解決するための12のポイントと集団認知行動療法治療者評価尺度(G-CTS)を用いた中級者むけ実習」の講演と事例検討および事例別ロールプレイの実習を行いました。中島先生の著作ではなく生の声が聞くことができ人柄も感じられてとても良かった等の意見があり前回同様、高評価を得ました。

次の事例検討ではオンラインに変更になったことで用意していた実症例を使用する承認が職場で得らなくなり、架空症例とせざるを得ませんでした。架空症例は、プログラム委員の稲毛先生、前川先生、福田先生、横田先生で何度も話し合って作成して頂きました。事前にスーパーバイザーの先生に架空症例を御一読して頂き、グループ討議でどのようなことを話し合ったらよいかの御意見もいただき、各グループに配属されたファシリテーターはそれを参考に活動し、その活動に対しても高評価をいただきました。 中島先生にも架空症例に対してご意見を伺い、プログラム委員会にも一度、参加して頂き、講演と事例検討会がつながるように工夫しました。

スーパーバイザーの先生方のコメントも武井先生が集団療法としての立場から、加藤先生が認知行動療法の立場から、秋山先生が産業医の立場からなされ、コメントの内容が興味深く参考になったという意見が多くありました。特に秋山先生のコメントが実際のリワークでの会社側からの視点が提示されており、とても参考になったという意見や実際の産業保健スタッフや人事担当者からの意見も聞きたいという意見もありました。

他方、今回の中島先生の事例と稲毛先生たちが提示した事例が2つともリワークに関するものだったため、自閉症スペクトラムやアルコール依存等の別の事例を示して欲しかったという意見もありました。困難事例について2時間程度で話し合える場を年に3~4回程度設けて欲しいという積極的な意見もありました。そのような場を中級研修会として提供するのか、別の機会として設けるべきなのかは今後、次期プログラム委員会で討議されるものと思われます。

参加者アンケートの中にも上記のような積極的な意見が多数、見られたのは、実際のグループディスカッションで熱い討論がなされた結果と思われます。参加者のレベルも高く、今回の研修会は基礎研修会と連続した「集団療法に関わる臨床スキルを高める」という内容で集団認知行動療法研究会の意志が反映された、「中級研修会」が継承されたものだったと思います。

文責
2021年度中級研修会プログラム委員長
崔 震浩


 

【概要】

開催日時 2021年10月24日(日)
9:30~16:30
場所 Zoomによるリモート開催となります
定員 40名
参加資格 次の1,2,3のうち、いずれかを満たす方

  1. 当会会員
  2. 当会基礎研修会修了者
  3. 集団認知行動療法経験者
参加費 会員 5,000円
非会員 7,000円
申込方法 参加申込み 受付終了しています
  • 現在非会員の方で、会員として本研修会への参加をご希望の方の入会申し込みは、2021年8月31日まで承ります。その際、入会と研修会の申し込み両方を同時にしていただき、研修会のお席を確保していただくことをお勧めします。

【プログラム】

  • 「グループにおける否認と回避を解決するための12のポイントと集団認知行動療法治療者評価尺度を用いた中級者向け実習」
    講師:臨床心理士 / 中島美鈴先生(肥前精神医療センター)
  • 事例検討会
    「回避・他罰傾向がある方へのアプローチ~本人・支援者を含めたグループの視点から~」
    スーパーバイザー:秋山剛先生(NTT東日本関東病院)
    加藤典子先生(慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室)
    武井麻子先生(日本赤十字看護大学名誉教授)

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