第18回認知療法・認知行動療法学会報告

初の地方都市開催の認知療法・認知行動療法学会が岡山で開催されました。会場は岡山駅直結で、空港からのアクセスもよく、設備の整った岡山コンベンションセンターでした。そのため会場間の移動もスムーズでした。800人近くの参加者が訪れ、それぞれの会場をにぎわせていました。プログラムも充実していました。うつ病を対象とした取り組みの中でもインターネットを用いたもの、AIを用いたものなど新しい取り組みが注目されていました。また、認知行動療法の取り組みが、産業分野、司法・矯正分野などさまざまな分野に広がりを見せており、そうした知見からどのようにエビデンスを作っていくか、どのように教育研修制度を構築していくかといったシンポジウムも目立ちました。中でも一般演題の口演発表では全16演題中5演題が集団認知行動療法に関するものであった点も興味深い点でした。本研究会の秋山剛先生のリワークにおける集団認知行動療法の活用の教育講演では、次々に参加者から質問が出て、関心の高さがうかがえました。また、本研究会の松永美希先生、筆者、大谷真先生、藤澤大介先生、岡田佳詠先生で企画した集団認知行動療法のクオリティコントロールというテーマの自主シンポジウムでは、治療者評価尺度(G-CTS)について紹介しながらどのように集団認知行動療法の質を担保していくかについて討議しました。初日の朝一のセッションであったにもかかわらず、多くの方にお越しいただき活発な議論を展開することができました。また、同日午後には、本研究会からは筆者、山下雅子先生らが中心となり、成人ADHDの集団認知行動療法に関するシンポジウムを企画しました。同じく今回の大会で初めて、成人ADHDの認知行動療法というテーマでワークショップを開催し、その中で集団認知行動療法についても触れることができました。

本大会を通じて、「研究会としても、産業や教育、子育て支援といった新しい応用分野もしくは、うつ病だけでなく他の疾患に特化した分野の集団認知行動療法のスキルを身につけることのできるような中級レベル以上の研修会を企画していかなければ」と決意を新たにしました。

次回の認知療法学会は東京の赤坂で8月30日より開催される予定です。研究会会員の皆様と学会会場でお会いできることを楽しみにしております。

文責 中島美鈴(九州大学大学院人間環境学府)

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